あけましておめでとうございます

昨年で私の自己紹介を終えられると思っていたのですが、いろいろうっかりを重ねていたらつい年を越してしまいました。今年もよろしくお願いいたします。

さて、今回はおこげさんの話からしてみようと思っていたのですが、年も明けたので、年末から始めてこれからも続けていきたい母とのスキンシップについてお話していこうと思います。

私は昔ピアノを習っていました。ピアノを習うにあたり、気を使っていたのが爪の長さです。
長いと、ピアノと接したときにカツカツと音が鳴るのです。
それが耳障りなのと、強い力で鍵盤と触れ合うと爪が割れてしまいます。

しかし、私はものぐさの塊のような性格でして、たまに爪切りで爪を整える程度で済ませていました。
そんな中、昨年数年ぶりにピアノの月刊誌を整理していた時に、ある一冊の表紙の「セルフハンドマッサージのやり方」という特集の文字が目に留まりました。
ハンドクリームを使ってのハンドマッサージのやり方から爪の整え方まで。
ピアノを習っていた当時はあまりやっていなかったハンドケアのやり方が書いてありました。

その時ふと思い出したのは母の手のこと。
母は乾燥肌で、冬になるといつもあかぎれを起こすのですが、おこげさん(いぬ)のベッド(冬場はおしっこを失敗してしまうのです…)を洗ったり、何度も食器洗いに精を出しているために、今年もあかぎれの季節がやってきてしまいました。

母の手は温かくて、大きくて、少しガサガサしています。
そんな手も大好きですが、大好きな母の手が柔らかくなったらいいな。

そして、もう一つ。
私が社会人になったら母にしてあげたいこと。
それは、ネイルサロンに連れていくこと。母は幼い時から自分の爪の形にコンプレックスを抱いていて、私と兄が生まれたときに爪が母に似てないかを一番最初に確認したほど、母にとっては嫌なものなのだといいます。

そんな母が少しでも自分の手を好きになるきっかけが欲しい。
そう思い、高保湿のハンドクリームを買うことから始めました。
800円位のやつです。
敏感肌に優しい、と書かれた商品を手に取って、なんて言ってケアしようかな…とウキウキで家路につきました。

夕食後。
私は謎のこだわりが強く、食器かごに移動させる食器を小さいものから大きくしていきたいので、考えることが多く、疲れていると頭が働かなくて自分ではもうどうしようもなくなってしまうので、洗い物は免除されています。
代わりに母にやらせてしまっていることを申し訳ないと思いつつ、洗い物が終わった母に「椅子に座って」と声を掛け、ダイニングテーブルの椅子につかせました。

何か重ための相談事をされるのかと思った母は嫌な顔をしましたが、めげません。
買ってきたハンドクリームを開封して手に取り、ふざけながら「ハイ手のひら出して~」と言うと、何とか誤解は解けたのか、「なんだね急に」と笑いながら手を出してくれました。

私は長いこと母と話したいので、たっぷりクリームを出します。
そうすれば、浸透までに時間が掛かり、大好きな母の手にずっと触れていられるから。
水にぬれて冷たい母の手を、食事のあとで温かい私の手が温めていく過程を感じていられるから。

もにもにと母の手を揉んで、手の疲れをほぐします。
私は爪が少しだけ長いので、母の手に当たらないよう気を付けて手の全体をもにもにしていきます。

次は指を一本一本マッサージしていきます。
固めのクリームを使っているので、掌で温めても滑りはあまりよくありません。
なので、今回も指を握ってもにもにします。

私の手の体温が母に移り、母の手が温かくなってきたころ爪のあたりを手入れします。
爪の根元がささくれにならないよう、入念にクリームを塗りこんで、爪のサイドを指圧します。
こうすると綺麗な爪が生えてくるってネイルサロンの人が言ってました。

少しでも母のコンプレックスがなくなりますように。
そう思うのには理由があります。

二回目の大学二年生に失敗して退学してから、私はとにかく夜が怖くてなかなか寝付けないでいる日々が続きました。また私に朝が来なかったらどうしよう。
朝になっても眠ってしまって、おこげさん(いぬ)の散歩に遅れたらどうしよう。
両親が頑張って買ってくれたおこげさんの存在は、初期のころは重荷でした。
夜も朝も怖い。そうやって泣きながら母にすがると、母はいつも背中をたたきながら子守唄を歌ってくれました。

幼いころに歌ってくれていた子守唄。
同じ調べを聞いていると、二十歳になっても親に子守唄を歌ってもらって眠りにつく自分が情けないと、さらに涙が出てきました。
でも、温かくて優しくてちょっと歪な爪の母の手は、私にとっては確かに救いの手でした。

今はもう一人でも眠れない夜を何とかやり過ごすことができます。
子守唄がなくても、調子が良ければすんなり眠れるようになりました。
それでも母の手は私にとっては特別なのです。

爪のサイドを刺激し終わったら、手全体にクリームをなじませて完成です。
この頃には母の手はぽかぽかになっていて。
それがなんだかとっても嬉しい娘なのでした。

もう少し続けて、母の手が綺麗になったらいいなと思うと同時に、母にいつまでもお洒落さを忘れないでいてほしいな、というのがムスメゴコロ。
ちょっといい化粧品なんかをプレゼントしたり、洋服を選びに行ったり、パーソナルカラー診断や顔タイプ診断を受けに行ったり。
そんなことができるようになるまで頑張るぞ!

今年の目標は「月五万稼げるようになる」ことから始まって、ウィッシュリスト(今年の目標を百個リスト化するものです)を六十五個まで埋めたのです。
両親への恩返しもかねて、今年が充実した一年になりますように。