シエリ・作


ある日の放課後、裕介くんは教室で古い絵本を見つけた。本を手にした瞬間、その絵本は不思議な光を放ち、ページがめくれ始めた。

 

絵本には学校から始まる冒険の物語が描かれており、裕介くんは隣で一緒に本を見ていた康太くんと一緒に、絵本の世界を探してみることにした。

 

二人は学校の隅の地下室への入り口を見つけ、勇気を出して暗い通路を進んでいく。すると奇妙な扉に行き着いた。2人は協力してその扉を開くと、扉の向こうには、お菓子の木や家、乗り物があり、美しい庭園が広がっていた。

 

二人は時間を忘れて遊び、気づけばもとの扉は消えていた。すると小さな妖精が現れ、「ここならお腹も空かず、眠る必要もない。ずっと遊べるのよ」と言う。

 

しかし、裕介くんは「ここには勉強したり新しいことを学ぶことができないんだ」、康太くんは「家族や友達がいないと寂しくなる」と返した。

 

すると妖精は「楽しいことも大切だけど、家族や友人や、困難に立ち向かう経験が本当の宝物なの。よく気がつくことができたわね」と言い、あたりにまばゆい光が広がった。

 

次に目を開けると、二人は教室に戻っていた。手に持っていた本はどこにもなくなっている。裕介くんは「お腹がすいたね」、康太くんは「また明日遊ぼう」と言い、2人は笑顔で家族の待つ家路についた。